2020.11.24 -ESSAY

高校野球の坊主は不思議でしょうがない

甲子園のアナザーストーリーなんかを見ると、凄い心が洗われてしまうものである。でも、僕はどうしても解決できない疑問がある。それは高校球児が坊主にする習慣。

いつからか全然見なくなってしまった甲子園を、まだ夏休みに見ていた中学生の頃。僕はどうにも拭いきれない違和感を感じていた。その違和感というのが、選手達がもれなく全員坊主ということ。

その時の僕は率直に、球児は何かのペナルティで坊主にしているけど、それをも押しのけて出場しているのかと思っていた。

僕は一瞬だけ野球を習っていたことがある。その時は坊主にしている人もいなくて、みんな普通の髪型だった。でも、他のチームの中には坊主やスキンヘッドにしている人もいて、何か怒られたのかなと悲哀な感じに見ていた。

そんな中で、「強豪チームは坊主率が高いね。」と誰かがボソッと言っていたことを耳にした。確かに言われてみれば、坊主が多いほど強かったように思った。結局、野球は途中で辞めてしまったのだが、野球自体は別に好きでも嫌いでも無い。

話は戻るが、中学生の頃にはすっかり忘れていた強豪には坊主が多いということを、ここ最近になって昔の情景と共に思い出した。それから改めて、高校球児の坊主について考えてみた。

甲子園は全国大会だから強い高校が集まっている。だから、いつかの他言で気がついた「強豪=坊主」の公式が見事に当てはまる。だとしたら、何故坊主にしているのかという根本的な疑問が浮かび上がってきた。

この疑問について僕が率直に思ったのが、結局高校野球を見る側が演出している気がするということ。

仮に甲子園を見ていたとして、きっと伝える側と見る側が少なくとも1mmくらいは感動を求めている感じがする。実際、所々で感動を誘発するカットや演出がある。

その中で、「潔く坊主にした球児が頑張っている姿を見たい。」、「高校球児は坊主でなければ受け付けない。」、「甲子園に出場するんだから坊主にしないとみっともない。」みたいな気持ちがあるのではないか。つまるところ、見る側のエゴでこの坊主という習慣が生まれた気がする。

こんなものは予想の範疇でしかない。しかし、野球部以外の部活で積極的に坊主にしている部活は、僕の経験上皆無だった。自ら坊主にしている人は勿論いる。でも、赤点や校則違反とかのペナルティで坊主にさせられている人が時々いるだけで、部活に属していた人たちはほぼ校則の範囲で別々の髪型だった。

それに他のスポーツには無い、帽子を被りながらプレーをするという独特のスタイル。あんなにも「髪型を気にするな。」と言わんばかりのメッセージを強く感じるのは僕だけだろうか。あるいは、この坊主の疑問に気が付いてからは、もう髪の毛を伸ばしても帽子でまとめられるから大丈夫としか思えなくなってくる。

野球帽のルーツとして、南北戦争中のアメリカでいつでも任務に戻れるよう軍服のままプレーしていたと言われている。その名残がいつしかルールになったという。それくらい明確な理由はない。ましてや、現代において実利的な理由がある訳でもない。

こういう習慣がルールになってしまうほど、野球は割と不思議なスポーツである。だから、謎の風習も常識として流されているのだろうか。

また、僕が通っていた高校では、野球部の応援の練習を学校全体で入念に取り組んでいた。そして、実際の大会では初戦に敗退するも、応援賞みたいなものを受賞していた。それくらい、応援に力を入れていた高校だったため、野球部の応援に強制参加するという暗黙の了解が根付いていた。

その影響には抗えず、僕も野球部の応援に参加していた。その際、ほんの少しだけ野球をかじっていた僕が、球児が帽子を取って整列している姿をスタンドから見た時に、とても異様な光景に見えた。

坊主の人がずらずらと並んでいる光景。日本ではものすごく限られてくる。でも、周りの同級生達は「頑張れー!」と、当たり前のように一生懸命応援している。

僕はこういう学校のイベントごとに関しては全然やる気のない人間だった。当然、この野球応援も、「縁も所縁もない部活を応援するなんて面倒だな。」と思いながら参加していた。ただ、坊主の整列が異様な光景に見えてからは、変な感じで楽しむことができた。それでも、謎の光景だったと改めて思う。

そして、とにかく野球は坊主や帽子以外にも、結構謎めいたことが多い。とはいえ、高校球児が坊主だろうとロン毛だろうと、僕にはまるで関係のない話である。

ただ、無意味な習慣にふとした時に気がつき、自分の中で考えてしまうと、もう気になって仕方ない。何でもできる世の中があるとするならば、今すぐ日本の高校球児達に「坊主についてどう思う?」と聞いてみたいところである。

野球に限らず、こんな捻くれた見方をしてしまうと、いつかの野球応援のようにどうしても変なところで盛り上がってしまう。でも、その楽しさは案外心地いいもので嫌いではない。

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