2021.02.09-ESSAY

一長一短

この二年ずっと頭の隅っこで、とある検証を考えながら過ごしていた。この検証を誰にも話したことはないが、かといってそれほど大した事柄でもない。

単刀直入に、検証内容は「髪型で本当に印象が変わるのか?」という、何ともしょうもない内容だ。

数年前の僕は茶髪にマッシュという、如何にも大学生らしい髪型だった。大学生の公式ヘアスタイルを具現化したら、きっとあの頃の髪型にたどり着くだろう。

思えば、高校に入学したばかりの頃はソフトモヒカンだった。それから段々、「どれだけ目立たずに過ごせるか。」というテーマに沿った髪型にしていった。

大学に入って初めての夏休みに一度だけ短髪にしたが、基本的にはマッシュだった。それから少し時が経って、何気ない会話の中で友達が有名な美容室に通っていたことが判明。名前しか聞いたことはなかったが、髪型で人生が変わるようなことを発信していた。

あまりにも啓発的に言うもんだから、少し気になった。果たして、人は髪型一つで変わるものか。

そんなことを考えていた僕は、今と真逆の髪型にしてみたい衝動に駆られた。どこか吹っ切れた思いを抱え、長年通っている床屋で初めて明確な注文をしてみた。

「アメリカンバーバーみたいな髪型にしてください。」

ゴリゴリの七三分け。この一言で、無意識のうちに検証が始まっていった。  

最初は「髪型変えた?」と会うたびに聞かれ、「見りゃわかるだろ。」と言いかけた口を「変えたんだ。」と言い直す。これの繰り返しだった。でも、次の日になってしまえば別にどうってことはない。

そんなに人の髪型を気にしてられるほど、暇な人間は中々いないものだ。なんせ、僕がそうだから。

しばらくはこの髪型を継続してみようと思った。今後、髪型を変えた時にギャップをより強くするために。

そして、どこかの風の吹き回しか、ようやく七三分けから脱却することに決めた。そんな頃、僕は昔のドラマや映画を好んで観るようになった。その熱はいつしか、一つの趣味みたいなものになった。

色々とその時代について調べていた時、不確実な共通点に気がついた。それは横分けのロン毛が多いという点。

いつだったか、ギャル男ブームみたいに、ロン毛ブームといった文言を耳にしたことがあった。

「よし、次はロン毛で決まりだ。」

心の中でそう決めた。それからしばらく床屋に行くことはなかった。

それから時が経ち、一年半後の現在。検証を終えることにした。僕は俗に言う、ギバちゃんカットになっている。

長髪を経験すると、余計に短髪のありがたさが分かる。ドライヤーいらずで、おまけに頭が軽い。なんだか懐かしい気持ちになった。

これで回想はおしまい。そろそろ本題に入ろう。気がついた点は大きく二つある。

一つ目は、思ってるより人は人の髪型に興味がないということ。これはあくまでも僕の場合であって、恐らく人によっては違う結論に至るはず。

イケメンや美女が髪型を変えたら、一つの話題として会話が成立する。現に、友達も芸能人の髪型にしてくださいと頼んでいたそう。

こういう外見が優れている人は、自分の髪型に興味を持たれることが当たり前という考えに自然となっていく気がする。

でも、それ以外の僕を含めた大方の人は、別に髪型が変わろうとどうだっていい。会話の取っ掛かりとして話題に出す程度が丁度いい。

だから、よくイメチェンの一環で髪型を変える人がいるが、実はそこまでイメージチェンジできていないのかもしれない。その人にとっては一大決心かもしれないが、周囲はそこまで気にしていない。それくらい、人は人の髪型に興味がない。

そして、もう一つの結論は人の髪型にそこまで興味がないくせに、都合のいい時だけ髪型で判断するということ。

正直、人が人に対して抱く第一印象なんて髪型や見てくれ、雰囲気でしか決めることができない。だから、会って間もない人を友達と呼べるのはいささか矛盾している。

面接なんかでもごく稀に、僕のことを恰も分かっているような口調で話す人もいた。1%も分かっているはずがないのに。たかだか20分程度の時間で一体何が分かるのだろうか。

また、これまたごく稀な例で、僕を見るや否や引いている人も中にはいた。その人の顔や目線は、僕の目よりも上を見ていた。

これらは一端の極例に過ぎない。でも、そういう場面の方が何故だか鮮明に覚えているものだ。

要するに、できるはずもないのに、やらなくてはいけないことを目の前にすると、普段の興味がまるで嘘みたいに便利使いされていくのではないだろうか。でも、それは仕方がないことだと思う。だって、それでしか判断するしかないから。

髪型で人生が変わる。服装なんかと一緒で、変わったことで行く場所や行動も変わっていく。そういう意味ではそうかもしれない。それとも、人生が変わるという意味はモテるという意味合いだったのだろうか。

だとすれば、人生が変わってしまうのは、イケメンや美女だけで、それ以外の人は特段変わることはないだろう。

それならいっそ、自分の好きな髪型でいいと思う。もちろん、仕事の都合で限定される場合もある。それなら、その限定の中から選べばいい。

昔のテレビなんかを見ていると、ボロボロの古着でトーク、ロン毛を掻き上げながらトーク。自分が好きなファッション、自分が好きな髪型。スタイリストさんのセンスだったのかもしれないが、毎度こういった印象を受ける。

もっとこんな感じで、他人目線を一切度外視していい時もあると思う。どうせ人は人の髪型に興味がないんだから。

古き良きってこういうことなのかな。

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